コーチ1年目に起きた失敗から学んだもの

失敗談について語る。
当たり前だけど、誰にでも失敗はある。
大事なのは、「失敗を学びにすること」と、「やってだめだったら変えてみる」ということ。
失敗とは、分析し次に繋げるのための大事な材料。

これは私が「自走するチーム」を目指す一つのきっかけになったコーチ1年目の実体験。
もしかしたら心当たりのあるコーチもいるかもしれない。


目次

何が起きたか

コーチとして初めてのシーズン。その最終戦。
相手チームを分析し、恐らく有効だろうと思えるサインプレーを作り、練習した。
試合に向けて準備万端で、あとはやるだけ、という状態だった。

ところが試合が始まると、そのサインプレーが機能していない。
そのプレーが試合を停滞させているのが、「私には」明確だった。

選手は、真面目に誠実に遂行し続けてくれた。
選手に全く落ち度はなく、どう考えても私の想定ミスだった。

「プレー変えて」
と指示を出したが、選手は焦っていたこともあり、切り替えることができなかった。
そのまま時間が過ぎ、前半を終えハーフタイムになった。

ハーフタイムにした指示で、なんとか逆転勝利

ハーフタイムにした指示はシンプルだ。

「そのプレーはもう中止だ。どう考えても足を引っ張っている。後半は自分たちがずっとやってきた一番鉄板のサインプレーをやってくれ」

勝負の基本である、「一番強いカードを使い続ける」こと。
選手たちは素直に私の指示に従い、後半は最後に逆転して勝利を収めた。
逆転勝利をチームとしては喜んだが、私としては苦い勝利となった。

この苦い経験から、何を教訓とするかが大事。
当時はコーチとして責任をかなり感じながら試合分析をした記憶がある。

失敗から得た2つの教訓

この苦い経験から得た重要な2つの教訓。考えてみれば当たり前すぎて、見逃していた重要なこと
多くのコーチには当たり前に理解されていて、私もこれを前提に全てのコーチングを行っている。
私は経験から教訓を得たが、皆さんはこの経験談から改めて学んで欲しい。

1. コーチが試合中にできることはほぼない

コーチが選手に直接指示を出せるのは、ハーフタイム。
プレー中断時にもできるが、完全に冷静になれているわけではないし、時間も限りなく短い。
一瞬の指示で「プレーを変更する勇気を持つ」というのは、かなり難しい。

コーチが試合中にできることはほぼないことを痛感させられた。

ラグビーは「準備のスポーツ」だと言われるが、まさにその通り。
「準備の段階で、できることも決まってしまう」のである。
良い準備というのは、サインプレーを練習することだけではない。

2. 『うまくいかない時にすぐに修正する練習』が必要だった

今回のサインプレーだが、1プレー目には「やるべきでない・変えるべき」と、私には見えた。
しかし、そこからも同じプレーは続けてしまい、結局前半40分を終えてしまった。

1回目ダメだったら、次のプレー選択時に修正(変更)していれば、ここまで苦労することもなかった。
グラウンドの選手には難しかった。なぜなら普段から修正する練習をやっていないから。
必要だったのは、サインプレーの練習ではなく「うまくいかない時にすぐに修正する練習」だった。

「自走できるチーム」を目指すきっかけに

この失敗をきっかけに、私のコーチング哲学に変化が起きた。
というか変えた。

「判断」ではなく「選択」という言葉を使い始めた。

「試合中にコーチは何もできないから、選手自身で修正できるような練習」をしようと考えた。

すなわち「自走できるチーム」を作る。

そもそも試合は選手のもの
コーチがあれこれ口出しをしている時点で、それを理解できていなかったと思う。
「選手が選択の駆け引きも楽しめる」とラグビーの面白さの本質も発見した。

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